「四季草花草虫図屏風」(蝶・蜻蛉)鈴木其一「春秋草木図屏風」

俵屋宗達「双犬図」※作品画像はすべて部分、細見美術館蔵

フォーラムForum

古典の日フォーラム2020

 

「古典の日フォーラム2020 ~『源氏物語』の世界をよむ~」を開催いたしました

日時:令和2年11月1日(日)午後1時~4時
場所:京都テルサ テルサホール

千年の時を超えて読み継がれる古典文学の傑作『源氏物語』に焦点をあて、様々な角度からその魅力にせまるフォーラムを開催させていただきました。
今年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止を鑑み、座席の半分の方にしかお越しいただくことができませんでした。古典を愛してくださるお一人でも多くの皆さまにご覧いただきたく、初めてオンライン配信させていただきました。
お越しいただけなかった皆さま。そして後日ご覧いただいた皆さま、会場におりました私達と一緒にお楽しみいただけておりましたら幸いでございます。
※当日の動画はこちらから(youtubeへ移ります)

 

◇源氏物語の世界Ⅰ ~舞楽「青海波」~ 天理大学雅楽部・おやさと雅楽会
『源氏物語』の「紅葉賀」に、光源氏が頭中将と共に「青海波」を舞うさまが見事に描写されています。まずは輝くばかりの舞姿をお楽しみください。

 

◇「古典の日宣言」
武村陽向(第11回古典の日朗読コンテスト【中学・高校生部門】大賞受賞者/東海大学付属大阪仰星高等学校3年)

 

◇登壇者のご紹介

[主催者] 前列右より
村田 純一 (古典の日推進委員会会長) 
西脇 隆俊 (京都府知事)
門川 大作 (京都市長)
山本 正  (宇治市長)
塚本 能交 (京都商工会議所会頭)

[来 賓] 前列左より
宮田 亮平 (文化庁長官)
今里 譲  (文化庁次長)
田中 英夫 (京都府議会議長)
山本 恵一 (京都市会議長)
真田 敦史 (宇治市議会議長)

 

◇文化庁長官感謝状贈呈
2008年の「源氏物語千年紀」を契機に古典の日推進委員会を発足し、この間「古典の日に関する法律」の制定など、長年に亘る古典文化の普及活動に対して、文化庁長官から感謝状をいただきました。

 

◇主催者挨拶
古典の日推進委員会会長 村田 純一

 

◇来賓祝辞
文化庁長官 宮田亮平

 

◇源氏物語の世界Ⅱ ~第12回古典の日朗読コンテスト大賞受賞者による朗読~

2019年後半、現在、『源氏物語』の最古の写本である「若紫」巻が発見され、世間がにぎわいました。朗読コンテストの課題作品は、「紫のゆかり」をテーマに、光源氏の母、桐壷の更衣。義理の母にして初恋の人、藤壺。そして自分の妻として生涯寄り添うことになる紫の上の3人を柱に「桐壷」「若紫」「紅葉賀」「初音」「御法」の中から名場面を山本淳子先生に選んでいただきました。
フォーラムでは、400名を超す応募者の中から、各部門で大賞に輝いたお二人に朗読していただきました。

【中学・高校生部門大賞】「若紫」
橋本 夏果(和歌山県立桐蔭高等学校3年生)

【一般部門大賞】「御法」
北村 優美子(京都府)

 

◇源氏物語の世界Ⅲ ~『源氏物語』の語りと和歌~
講演:山本淳子(京都先端科学大学 人文学部教授)

物語とは“もの語る”というとおり、作者が創作した話しことばを語り手が読者に聞かせるスタイルをいいます。目の前に何の映像もないのに、語り手の臨場感でその情景が脳裏に浮かび物語を味わうことができます。反対に、物語の中で、登場人物の声や気持ちを知ることができるのが和歌です。和歌は限られた文字数の中で自分の気持ちを表現しなければならず敬語が使われません。歌を詠み、贈る相手と詠み交わすことは。身分の差を忘れ自分の心をさらけ出す不思議なツールです。登場人物の悲しみや人生の苦しみといった気持ちは和歌にこそ表れています。『源氏物語』の一貫したテーマは“生きる”ということ。現在に生きる私達は揺れ動く世界に浮かぶ小さな小舟。その波の中でうろたえるしかない存在です。予想もつかない困難が私達を襲ってきます。こうした困難に直面した時こそ、歴史という深い海にしっかりと降ろす錨の存在である古典に触れることにより、先人よりその教えを受けています。私達は、知らず知らずのうちに「古典をいだき古典に抱かれて」今を生きています。

 

◇源氏物語の世界Ⅳ ~王朝の音色を楽しむ~
コーディネーター 東儀秀樹

『源氏物語』の中で雅楽の様子が描かれているところに触れ、聞きなれない楽器の名前から、どんな形をしていたのか、どのような音色を奏でられたのか?楽器を知り、その音色を知ることは『源氏物語』を読みほどいていく上で見えてくるものが違ってきます。山本淳子先生のお話にあった語り手の臨場感に、音の世界が加わると、物語の情景がどんどんと広がりを見せます。和歌に上下関係はないというお話がありましたが、音楽にも、ジャンルや上下の関係はありません。想いを音に託して表現することが音楽の素晴らしいところです。

 

伍芳(中国古筝演奏家)

「花の源」「清平楽・禁庭春庭」といった漢詩にメロディをつけた曲。唐の終わりの中国の皇室の人間模様を映画化した主題歌「菊花台」。中国でたいへん人気をよんでいる作品を華やかで優雅な音色で演奏していただきました。

 

佐藤和哉(篠笛奏者・作曲家)

古来から身分の差や貧富の垣根を超えて広く庶民に親しまれてきたのが篠笛です。『源氏物語』の最後のヒロイン、浮舟の心情を自作曲「舞姫」に重ね合わせて。2曲目の佐藤さんの故郷、佐賀県・唐津に伝わる古謡「たてやま囃子」は、自然の情景が目に浮かぶ心和むメロディです。浮舟もこの曲を耳にしていたら故郷を思い起こしたことでしょう。そして「空色の想い出」。最後に、奈良薬師寺の東塔の完成を祝して作曲した「瑠璃色の光」は、薬師如来の光に導かれ、浮舟が歩みを進めていくような希望にあふれたやさしい調べでした。

 

〆野護元(雅楽演奏家)東儀秀樹・典親親子

紫式部が聴いていたであろう「越天楽」。雅楽をもっと知ってほしいと楽器の特徴を活かして、現代風に聴きやすくバラード調に編曲した「越天楽幻想曲」を3人で演奏してくださいました。

今、叙情歌が小学生の教科書から削除されようとしています。この国にしかない恵まれた四季の情景が、日本の言葉の美しさで表現されているのが叙情歌です。東儀さんは、失われようとする危機を実感し、その旋律の美しさと日本の心を再認識してもらおうと雅楽器を使ってアレンジ曲を発表しています。その中から「浜辺の歌」を。
そして、世界の人達に雅楽を知ってもらうきっかけとなったシャンソンの代表的な楽曲「枯葉」を典親さんのピアノ伴奏で。最後は、クィーンのボヘミアンラプソディーで会場内が盛り上がりました。ジャンルや時代に関係なく音楽をとにかく楽しむこと。言葉が通じなくとも、遠い古に迷いこもうとも、音に乗せて、世界に通じる雅楽の魅力を伝えていただきました。

古典の日フォーラムで手拍子が沸き上がったのは初めてのことです。パソコンの前の皆さんも楽しんでいただけたことと思います。波に浮かびさまよう私達に手を差し伸べ、導いてくれるのが、古典です。私たちはどんな時も古典という大海原に守られていることを感じていただけたことではないでしょうか。