朗読コンテストRecitation
第10回「古典の日」朗読コンテスト(2018年)
第10回古典の日朗読コンテスト公開最終審査会と表彰式が開催されました
11月11日(日)に第10回目の朗読コンテスト最終審査会が行われました。初めて京都府立京都学・歴彩館が会場となりました。今年は明治150年を記念して、明治文学作品から4作品が課題となりました。その為、昨年までの古典作品と比べて文体が馴染みやすかったのか、多くの方にご応募をいただきました。しかし、今年はかなり応募作品に偏りがありました。
一般部門 | 中学・高校生部門 | 合計 | ||
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中学生 | 高校生 | |||
舞姫 | 59作品 | 25作品 | 29作品 | 113作品 |
にごりえ | 114作品 | 16作品 | 11作品 | 141作品 |
福翁自伝 | 19作品 | 10作品 | 12作品 | 41作品 |
坊っちゃん | 64作品 | 78作品 | 76作品 | 218作品 |
合計 | 256作品 | 129作品 | 128作品 | 513作品 |
最終審査会は、まず中学生3名から始まりました。3名中2名が昨年からの連続出場者です。そして、次に高校生の4人、一般の8名の方の発表でした。文体が現代文なので例年よりは聞いている方々も、物語の世界の中に入りやすかったのではないでしょうか。また、同じ文章でも朗読者によって、これほどまでに浮かぶ情景が違うものかと、驚き、また朗読の奥深さを感じました。
最終審査会出場者15名の朗読を終えると、その余韻のまま、昨年に続き伍芳さんの古筝の演奏と漢詩朗読でした。古筝の音色が素晴らしいのはご存じの方も多いと思いますが、今年は世界の詩文朗読として、漢詩朗読もしていただきました。伍芳さんは声も素敵で、漢詩と古筝が素敵に合っており、曲の間に漢詩と演奏曲の丁寧な解説がありました。古い時代の中国に思いを馳せた方も、多かったのではないでしょうか。
休憩後に、過去の大賞受賞者3名の受賞作品の映像を上映しました。第5回大賞【一般部門】村上秀行さんの『なめとこ山の熊』、第6回大賞【一般部門】宮下郁子さんの『源氏物語』「若紫」、第8回大賞【中学・高校生部門】伊東知穂さんの『源氏物語』「浮舟」でした。大賞の方の朗読は、何度聞いても引き込まれます。
厳しい審査の中、8名の受賞者の発表がありました。8名の方の受賞が決まりましたが、今回受賞を逃された方も513名の中から選ばれた方々なので、みなさんがとてもすばらしい成績を収められたと思います。
審査委員長の菊川德之助先生の審査講評は、毎年ユーモアいっぱいです。先生の衣装は10年間変わっていないという告白から、古典も昔からその文体、文章、語彙は変わらないが、この舞台に立って朗読する方は新しい時代に見合った光を当てて朗読してくださっている。同じ題材でも違って聞こえ、新しい魅力で朗読してくださっている。また、中学・高校生の成長が素晴らしく、予選時の朗読より数段良くなっている。この成長を大人の方が負けないようにしていくにはどうしたら良いか今後の課題だということを、審査員5人で話し合われたそうです。そして、最後にさらに古典が広く皆様に読まれることを祈っている。と、コンテストを締めくくってくださいました。
第10回古典の日朗読コンテスト公開最終審査会と表彰式も無事に終わりました。次回第11回に向けて事務局も準備を進めてまいります。来年も皆様からの沢山のご応募をお待ちしております。
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■会場風景
■総合司会・審査員
星野 祐美子(フリーアナウンサー)
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菊川 德之助・端田 宏三 宮田 圭子・三好 仁・中村 宏 |
■主催者代表挨拶
古典の日推進委員ゼネラルプロデューサー 山本 壯太 |
■来賓挨拶
文化庁 地域文化創生本部事務局長 松坂 浩史 |
■最終審査会出場者 朗読
<中学生>
朝長 桜 (長崎県・長崎県立諫早高等学校附属中学校3年生) 作品:『坊っちゃん』 |
岸 ふみ (長崎県・長崎県立諫早高等学校附属中学校2年生) 作品:『坊っちゃん』 |
野村 虹乃 (兵庫県・啓明学院中学校2年生) 作品:『にごりえ』 |
<高校生>
重枝 希呼 (大阪府・東海大学付属大阪仰星高等学校3年生) 作品:『にごりえ』 |
近藤 紫 (愛知県・南山高等学校女子部1年生) 作品:『福翁自伝』 |
井上 己新 (大阪府・明星高等学校1年生) 作品:『舞姫』 |
西村 功我 (東京都・日出高等学校1年生) 作品:『坊っちゃん』 |
<一般>
山本 寿実(東京都) 作品:『にごりえ』 |
最所 久美子(大阪府) 作品:『坊っちゃん』 |
山木 梨花(兵庫県) 作品:『にごりえ』 |
熊澤 祥子(神奈川県) 作品:『坊っちゃん』 |
藤本 睦美(大阪府) 作品:『舞姫』 |
橿尾 志津子(福井県) 作品:『にごりえ』 |
村上 征夫(大阪府) 作品:『福翁自伝』 |
野中 栄子(福岡県) 作品:『舞姫』 |
■世界の詩文朗読 中国古筝の演奏と朗読
伍 芳 |
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■映像「古典の日朗読コンテスト大賞受賞者の朗読」上映
第5回大賞【一般部門】 村上 秀行 作品:『なめとこ山の熊』 |
第6回大賞【一般部門】 宮下 郁子 作品:『源氏物語』「若紫」 |
第8回大賞【中学・高校生部門】 伊東 知穂 作品:『源氏物語』「浮舟」 |
■審査発表・表彰式
■審査講評
審査委員長 菊川德之助 |
■最終審査会出場者 集合写真
フォーラム「古典の世界を読む2018」のご案内(PDF形式)
第10回古典の日朗読コンテスト 課題作品・審査員
■課題作品
【一般部門】【中学・高校生部門】共通 いずれか1作品を選択。指定範囲を朗読のこと
①『舞姫』 森鴎外 範囲:ある日の夕暮れなりしが、~
また始めてわれを見たるがごとく、恥じてわが側を飛びのきつ。
②『にごりえ』 樋口一葉 範囲:おい木村さん信さん寄つてお出よ、~
表を通る男を見かけて寄つてお出でと夕ぐれの店先にぎはひぬ。
③『福翁自伝』 福沢諭吉 *両範囲を朗読 範囲:「兄弟五人中津の風に合わず」 さて中津に帰ってから~
自然、内に引っ込んで兄弟同士遊んでいるというような風でした。
範囲:「反故を踏みお札を踏む」 また私の十二、三歳のころと思う。~
一人で窃と黙っていました。
④『坊っちゃん』 夏目漱石 範囲:いよいよ約束が極まって、~
中学校のありかも知らぬ奴があるものか。
*以上の題材の典拠として、出版社の指定はしない。
■審査員
審査委員長 | 菊川 德之助 | (演出家・元近畿大学舞台芸術教授) |
審査員 | 中村 宏 | (元NHKアナウンサー・「NHKラジオ深夜便」第1・第3金曜日を担当) |
端田 宏三 | (大阪放送劇団俳優・関西朗読家クラブ代表) | |
星野 祐美子 | (フリーアナウンサー) | |
宮田 圭子 | (女優) | |
三好 仁 | (元KBS京都アナウンサー・朗読講座講師) | |
特別顧問 | 芳賀 徹 | (国際日本文化研究センター名誉教授) |