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「古典の日」からとっておきの情報や
こぼれ話などをお届けします。
古典の日絵巻第十四巻「古典の魅力を伝え隊!~高校生が読む古典の世界~」
みなさん、こんにちは。
令和7年度は、私たち京・平安文化論ラボが、古典の日絵巻を担当いたします。私たち高校生の目線で読み解いた古典の世界を、1年間お楽しみください。
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3月号 京・平安文化論ラボの挑戦~生徒たちの舞台裏~
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2月号 明石に咲いた才媛
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1月号 平安のロミオとジュリエット~光源氏と朧月夜~
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12月号 蓬のなかに佇む花 末摘花
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11月号 ツンデレお姫様 葵の上
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10月号 教養と実践を融合した探究
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9月号 枕草子のゆかりの地へ
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8月号 紫の上との出会い
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7月号 源氏物語の輝く華
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6月号 古事記って何?
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5月号 光源氏の母 桐壺更衣
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4月号 京・平安文化論ラボの活動
京・平安文化論ラボの挑戦~生徒たちの舞台裏~
【嵯峨野の「探究」の歴史】
令和4年度から全国の高校で「総合的な探究の時間」が導入されました。学校では、国語や数学、理科等の教科に分けて学習していますが、実社会は厳密に教科に分けることができません。社会情勢をよく見て、教科横断的に課題を解決していく資質・能力を育成することが求められています。
嵯峨野高校では、「探究」の学習が重要視される随分前から、「探究」に力を入れてきました。京・平安文化論ラボの前身である、「京都文化論」は、平成8年度からスタートしています。「やらされる」学びから「自分ごと」へ、長い時間をかけて「探究」の学びは形づくられて、現在の形になりました。
嵯峨野高校の京都こすもす科共修コースと普通科の「総合的な探究の時間」は、アカデミックラボと言います。アカデミックラボでは、12の分野のラボの中から、所属したいラボで活動します。1年次に探究の基礎を学びます。課題設定の方法や、仮説を検証するための方法を学び、小論文の執筆方法を習得します。2年次から、本格的に探究をスタートします。
ご覧のように、様々な分野のラボがある中の1つが、私たちが担当している「京・平安文化論」ラボです。国語科の教師2名が担当しています。

【京・平安文化論の探究】
生徒はそれぞれ文学研究をし、互いに発表を行います。『源氏物語』や『枕草子』等から、平安時代の文化や古典文学について調査研究します。また、「古典離れ」という社会的な課題に対して高校生ならではの視点で解決策を考え、実践しています。
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令和7年度は、6つのテーマで、探究のまとめを行いました。以下はタイトルです。

今回は、この中から2つのグループの探究成果をお伝えします。
「和菓子で広がる古典文学」 探究概要
古典は日本文化として高い価値を持つ一方、「難しい」「自分とは関係がない」と敬遠されてしまいがちです。そこで本研究では、身近な日本文化である和菓子を通して『源氏物語』の魅力に触れてもらうことを目的としました。古典に対するネガティブなイメージを払拭し、親しみを持ってもらう方法を探るため、本研究に取り組みました。
京都府宇治市「源氏物語ミュージアム」内にある雲上茶寮様にご協力いただき、六条御息所と夕顔という対照的な二人の女性を題材に、それぞれの性格や運命を色彩や形で表現した和菓子のデザインを制作し、販売していただきました。購入された方へのアンケートでは約67%が古典への関心が高まったと回答し、和菓子の見た目や商品を説明する文章から、物語の内容が伝わったという声も多くよせられました。一方、購入者の多くが元々古典に関心を持つ層に限られていた点が課題です。今後はSNS発信や校内販売、英語表記の説明文の導入などにより、より幅広い層へ古典の魅力を届けて行きたいと考えています。
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| 上生菓子 『六条御息所』 | 上生菓子 『夕顔』 |
「NAKED,INC.~現代と平安のコラボレーション~」 探究概要
令和7年度の嵯峨野高校の入学生へのアンケートから、古典を苦手と感じている生徒が約7割であることがわかりました。その多くが「古文単語・文法に苦手意識が強い」ことや、「背景知識がないために、文章を理解できない」と感じていました。この現状を踏まえ、難しさを感じる単語や文法ではなく、和歌を古典に親しむための入り口にしようと考えました。和歌は昔の人の心情をダイレクトに表しているので共感を得やすく、親しみやすいため、見ていただく方の興味関心につながると考えました。株式会社NAKED,様および二条城様にご協力いただき、プロジェクションマッピングを用いた和歌インタラクションを実施しました。「月影に出逢うやまとうた」と題し、プロジェクションマッピングを用いて、和歌の世界と自分自身をリンクさせるインタラクションを実施しました。
参加者は「自然の美しさ」「紅葉」などのキーワードと、それに合ったイラストが書かれた情景カードを直感で選びます。それをスキャンすると、プロジェクションマッピングによって映し出される、映像や音で再現された和歌の世界を体験できます。また、映像の最後に表示される二次元コードから、現代語訳やラボ生によるおすすめポイントを見ることもできます。
私たちが行ったことは、以下のとおりです。
①秋、月、二条城などをテーマに、ラボ生1人につき1首、和歌を選定しました。
②選んだ和歌の好きなポイントや魅力、読まれた状況や作者の情報などの解説を考えました。
③選んだ和歌の世界観を現代の二条城に再現するような映像や、それとともに流れる音声などの演出を考えました。全部で26種類作成しました。
④この案を株式会社NAKED,様に映像化していただきました。さらに、それに修正を加え、実際に二条城の壁にプロジェクションマッピングとして映し出しました。
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| 生徒たちがデザインした和歌のプロジェクションマッピングの様子 | |
そして、インタラクションに参加された方へ、アンケート調査を行いました。アンケートの「この和歌インタラクションはいかがでしたか」という項目に対して、大変良いと答えた方が73.8%、良いと答えた方が24.6 %、あまりよくないと答えた方が1.6 %でした。また、「この和歌インタラクションによって、和歌に対するお気持ちに変化はありましたか」と言う問いに対して、より興味を持ったと答えた方が85.2%、変わらなかったと答えた方が14.8 %でした。この取り組みを通して和歌に対してより興味を持っていただいた方が多数でした。したがって、古典文学に親しむために和歌の取り組みは有効であったと推察できました。文字だけで古典に触れていると、文法や言葉の難しさから、どうしても苦手意識を持ちやすいけれども、参加型で気軽に楽しめる企画を通して古典に触れることで、古典への関心が高まることがわかりました。そうした楽しさがきっかけになって、これまで難しいと感じていた文法や単語を学ぶ第一歩につながる可能性もあると考えられます。「学ぶから楽しい」という方向に持っていくのは難しいですが、「楽しいから学んでみたい」という流れであれば、自然と古典に親しみが湧き、学びに向かう気持ちも生まれやすくなると考えました。
今回の企画では、ご参加いただいた方の和歌に対する関心が向上したことは確認できました。しかし、アンケートの回答数が少なかったため、ご参加いただいた方の多くの声を聞けたわけではありません。また、参加者の多くがもともと和歌や古典に興味を持っていた可能性も考えられます。今後は、今回の結果を踏まえ、より広く古典の魅力を発信できる企画づくりが課題だといえます。古典を楽しむ意識も大切なことですが、いかに「楽しいことの中に、自然に古典がある」状態をつくれるかが重要だと考えます。
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| 探究成果発表会の資料 | |
他の4グループの探究成果発表も充実したものになりました。それはまた別の機会にゆっくりとご紹介したいと考えています。
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嵯峨野高校での探究成果発表会の様子
豊川 莉生
籔田 桜来
吉田 琉南
林 美涼
生駒 亜沙
嵯峨野高校 京・平安文化論ラボ 担当教員より ~ラボを担当して~
高校時代に『源氏物語』の世界に魅了され、数多く登場する女性の中でも藤壺に憧れていました。「光君」と対になる「輝く日の宮」と表現される藤壺は、光源氏にとっての理想の女性として描かれています。光源氏にとって理想の女性ということは、紫式部にとっての理想の女性とも言えます。藤壺はどんな女性なのか「もっと知りたい!」という思いで、『源氏物語』を読み進めました。古典の魅力を知ったこの体験は、高校の国語教師を目指すきっかけとなりました。古典の授業後に、『源氏物語』や『枕草子』、平安文化の面白さや好きなところを生徒たちが話しているのを聞く時、心の中でガッツポーズをしています。生徒にとって古文が「自分ごと」になる瞬間を見ることが、私の喜びです。
現在は、現代文や古典の授業と、京・平安文化論ラボを担当しています。ラボを担当して7年になりますが、楽しい日々を過ごしています。ラボは、学校はもちろん、京都そのものが学びの場となります。生徒が問いを立て、研究・調査をしていきます。失敗することも学びになります。平安文化は決して遠い過去のものではなく、今もなお私たちの暮らしや価値観の根本にあるものです。平安時代の文学や文化を、生徒自身の視点で掘り下げてもらいたいという思いでラボを進めています。
ラボの時間は、いつもワクワクしています。「高校生はこんなことができるのか!」「こんな発想があったのか!」と毎年驚かされます。生徒たちは私の想像を超えます。生徒たちは自由で柔軟な発想を持っていて、私を面白がらせてくれます。成果も大切ですが、そこに至るまでのプロセスが大切だと感じています。生徒たちには力があります。私はただ、「生徒のやりたいことをやらせてあげたい」という思いだけで7年間やってきました。いつもうまくいっているわけではありません。生徒の希望することを企業様に依頼し、案件を進めようとする際に、企業様に断られるということがあります。私が諦めそうになった時、生徒が「諦めたら、そこで終わりですよ。もう少し粘りましょう。」と言いました。私が励まされていました。それがとても頼もしく、面白くもありました。大人の考えで、高校生では実現できないと決めつけるのではなく、生徒を信じて彼らの挑戦を支えてきました。また、嵯峨野という環境の中で学び、京都で挑戦する場をいただけたことで、生徒は大きく成長することができました。古典に出てくる寺社や景観を「見る」ものとしてだけでなく、「読む」そして「感じる」対象として捉え直すことで、古典が「今」のものとなります。生徒から、「古典の良さがわかった」「ラボでの活動で私は成長したと思う」という声が聞かれたことは、担当者として何より嬉しいことでした。
また、ラボの活動を指導する中で、古典の日推進委員会様をはじめとして、世界遺産や文化財を守っていらっしゃる皆様の声を聴かせていただくことがあります。そのすべてが強い覚悟を感じるものでした。ラボを担当しなければ知ることができなかった「想い」に感動し、私たちの背中を押していただきました。京都の「ほんまもん」に触れることで、生徒の学びは一層深まっています。
こうして充実したラボ活動を続けてこられますのも、支えてくださる皆さまのおかげです。多大なご支援をいただいております。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。また、2023年度には、第3回「古典の日文化基金未来賞」の受賞者として、京・平安文化論ラボを表彰していただきました。そして、今年度は1年間、「古典の日絵巻」を担当させていただきました。このような貴重なご縁と機会をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。このような機会を励みにして、今後も古典文化の未来へ向けた歩みを重ねてまいります。
ラボの活動は、生徒にとっても担当者にとっても、挑戦の連続です。これからも、京都という豊かな文化の中で、生徒とともに平安時代の文学や文化を学び、その素晴らしさを発信しつづけたいと考えています。探究に挑む生徒たちを、これからも応援していただけるとうれしいです。
国語科教諭 北山 智己
私は2023年度に嵯峨野高校に赴任し、昨年度から京・平安文化論ラボを担当しています。長年教壇に立って古典を教えてきましたが、「どうすれば古典をもっと身近に感じてもらえるだろう」と悩んでいたとき、このラボと出会いました。
ラボには、古典が好きな生徒はもちろん、苦手意識を克服したいという生徒や、前年度に製作していたお菓子がおいしかったから自分も作りたいという生徒など、さまざまな思いをもつ生徒が集まっています。ラボ活動が通常の授業と大きく異なるのは、生徒一人ひとりの興味関心や問題意識に沿って学びが進んでいく点です。はじめは自分の関心を見つけられず戸惑う生徒もいます。しかし、親しみやすい現代語訳の本や平安時代の風俗を紹介する本、古典を題材にしたエッセイや漫画などに触れ、友人や教員と語り合ううちに、次第に古典の世界へと引き込まれていきます。
私事ですが、大学時代の卒業研究で選んだのは『枕草子』でした。指導教授のご専門は『源氏物語』でしたが、どうしても清少納言のまなざしを通して見る世界に心を惹かれたのです。四季折々の美しさ、歯に衣着せぬ物言い、宮中で魅力あふれる主人に仕える誇り。こんなにも心が明るく軽やかになる古典に、初めて出会いました。しかし、その明るさの裏にある真実を知ったとき、人間の複雑さを感じるとともに、清少納言の深い愛情や揺るぎない信念、そして心の弱さに触れた気がしました。それ以来、彼女という一人の人間を、いっそう身近に感じるようになりました。
私が『枕草子』との出会いを通して古典の魅力に気づいたように、生徒たちが古典への関心を深めていく姿を見ることは、何よりの喜びです。「夏休みに友達と、『枕草子』で清少納言がしていた長谷寺参詣をしてみた。当時の清少納言の気持ちが少しだけ分かった気がした。」「清少納言が言ったように、私も自分の武器になる学力や社会経験を身につけて、自分の幸せを自分で決められるようになりたい。」「(ラボ活動を通じて)人間力や思考の視点を身につけることができた。」これらは、ラボ生から寄せられた言葉のほんの一部です。古典が単なる学習対象にとどまらず、生徒一人ひとりの人生観や行動に影響を与えていることを実感します。
嵯峨野高校は、校是である「飛翔」=「世界へ羽ばたくこと」を視野に学びに向き合う生徒が多い学校です。悠久の彼方から受け継がれてきた古典に触れ、その営みが今の自分にも確かに流れていると実感する経験は、国際社会で多様な人々と関わるうえでも大きな支えとなるはずです。
これまで私は、「古典に親しむためには、まず知識や技術を身につけさせなければ」と肩に力が入りすぎていたのかもしれません。しかし、受け継いでいくために必要なのは、まずその面白さに気づき、好きになることなのだと、生徒たちから教えられました。古典は、歴史ある尊いものだから守らねばならない、という義務感だけで向き合うものではありません。「面白い」「好きだ」という気持ちを原動力に、主体的に関わることこそが大切なのだと感じています。現在は、ラボでの学びを授業にも生かし、生徒が古典の世界へ踏み出すきっかけをつくっていきたいと考えています。
末筆ながら、日頃よりラボ活動にご協力くださっている皆様に、心より感謝申し上げます。社会に開かれた学びの場を支えていただき、生徒たちの学びはより豊かなものとなっています。
4月からはまた新たなメンバーでラボ活動が始まります。活動の中で、どのような古典の世界が広がっていくのか、私もワクワクしています。これからも挑戦を続けながら、私たちが見る古典の世界を皆様と共有できる出会いを重ねていければと思います。今後とも、嵯峨野高校京・平安文化論ラボの活動を温かく見守っていただけましたら幸いです。
国語科教諭 内田 咲紀子
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| ラボ活動中の様子 | |
◆京都府立嵯峨野高等学校「京・平安文化論ラボ」の活動は、各SNSで更新中◆
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